てっとうちくれんなえ〜

午後3時頃、外から声がする。

「ねぇちゃ〜ん!ねぇちゃ〜ん!おるんかえ〜!?」
(お姉ちゃん、お姉ちゃん、家にいますか??)
ちなみに私の名前を教えたのだが、たまに思い出したり忘れたりの繰り返しで、名前を呼ばれるときは5回に一回くらいの割合だ。忘れた時はねえちゃんと呼ばれる。

 

びっくりして飛び出てみると、隣のおばあちゃん。

「ちょっと、てっとうちくんなぁ〜」

(ちょっと手伝って〜)

と神妙な顔。

詳しく聞くとトップカーが田んぼにはまって身動き取れないのでどうにか出して欲しいとの事だった。
ちなみにトップカーとはこんなんなのでリンクを参照していただきたい。
この辺の車に乗れないお年寄りの大切な足だ。
車の免許返納→トップカー→シニアカーという順番で移動手段が変わる。

おばあちゃんはだいぶ動揺していて、トラクターを出動させて引っ張ったほうがいいのか、軽トラで引っ張り出したらいいのかと提案してくるが状況を見てみないとなんとも言えないのでとりあえず現場へ。
おばあちゃんの田んぼはうちからよく見えるし、トップカーも家からよく見える。
おばあちゃんを軽トラに乗せていざ出陣。

行ってみると田んぼのど真ん中で立ち往生しているトップガーがぽつん。

一体何をしようとしたのか・・・なぜ通ったのか。

まぁ、そういう事はおいておいて、救出にとりかかる。

車やトラクターで引っ張らなくても行けそうだったので、押して救出する事にした。
おばあちゃんも一緒に押そうとするので、さすがに止まったトップカーを動かす力はないので、おばあちゃんに乗ってもらい、まず、バックで出る事を試みる。
バックギアに入れてもらって私が前から押す。
バックだとタイヤが滑って進まないので、今度はハンドルを切りながら前進で出てもらう。私はまた押す。

すると、あっさりぬかるみから出れた。おばあちゃんは安堵の表情だった。
タイヤが埋まっていたというか、ちょっとぬかるんだところに少しだけタイヤが滑ってはまったというかんじだろうか。
それからおばあちゃんに運転してもらいながら私はトップカーを押しながら田んぼから出た。
今年は雨が近いので田んぼは余計乾きにくくなっておりトップカーではちょっと行くのに苦労したというわけだ。
最近晴れが続いたしいけると思ったおばあちゃん。

「あとからお礼するるけんなぁ〜!!!」

というけれどもそこまでしないでくださいと遠慮してその場をあとにした。
そのあとすぐにおばあちゃんがうちにやってきて、干物と豚肉を持ってきてくれた。
お礼の品だ。
断るのも悪いし、気持ちなのでありがたくいただき、その日の夕飯になった。

私も何があるかわからないから、やっぱり助け合いは必要だ。
お互い助け合って生きていかなければこの限界、いや消滅集落では生きていけないと思う。

おばあちゃんの中では貸借りというものがあるが私は別にそういった感覚はない。

自分の身の回りで発生するトラブル。
外からやってくるトラブル。

田舎にいるとたくさんのトラブルに見舞われる。
だが一つ一つ地道にそのトラブルと向き合うしかないなぁと思う。そこではねのけたりもがいたり、向き合ったり。いろんな方法で対処しないとなあ。

でも、85歳のおばあちゃんのパワーは本当にすごい。
自分で押そうというその気合。
私も見習わなければ。

 

作成者: Haru

シングル百姓。 農業を初めて6年目、猟師見習い中。大分県竹田市の消滅集落で一軒家を借りてDIYリフォームし住んでいる。2人の娘、ネコ2匹と暮らしている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です